ずばり電気かんなを選ぶといい人
数十本も木材を削る必要がある人です。
私の場合は、檜の野地板で
12×120×2000が88枚
12×105×2000が9枚
12×90×2000が3枚
12×75×2000が3枚
12×60×2000が3枚
合計106枚を数日で削る必要がありました。
家のリフォームしているのでこれ以外にも発生しますが、この数日の作業分です。
既に電気かんなを所有し、電気かんなの扱いを知っている人なら、数本の木材でも電気かんなで削れば艶のある木材を創り出すことができます。
こればかりはサンダは太刀打ちできません。
既にサンダを所有し、サンダの扱いを知っている人なら、数本の木材ならサンダで加工すれば楽です。
サンダを用した事のある人ならわかると思いますが、サンダは振動が伝わります。
チェーンソー以外の振動工具の取扱い業務に係る振動障害予防対策指針に定める振動障害予防対策の実施に必要な振動工具の「周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値」が工具メーカで公表されています。
それによると
ハイコーキ 電動工具総合カタログ WEBカタログ
3軸合成値はランダムサンダで7m/s2、オービタルサンダで5.1m/s2
これがどんな物かというと
JEMAの概要│JEMAご案内│JEMA 一般社団法人 日本電機工業会
簡単に言うと、数本の木材をサンダで削るならいいけど、何十本もの木材を削るような事は、日振動ばく露限界値を超えるため、サンダでの作業は諦めないといけないことになります。
防振手袋着用してどれほど振動を吸収できるのでしょう・・・
電気かんなの使い道
電気かんなで何ができるかというと
厚みを削る
板は反っている事が多い為、電気かんなで水平になるまで削るのはかなりの時間を要してしまいます。
精度の高い木材が必要なら化粧材(人が見ている材木のこと、隠れて見えないのは下地材)を買ってくるのが一番簡単です。
手間とお金をかけてもいいのであれば、自動かんなと手押しかんなを揃えてあげれば、綺麗な材を作る事ができます。
問題は電気かんなで綺麗な材を作るのは経験が必要です。
最初の頃は割り切りが必要です。
角を削る
電気かんなでできることは、実はルータテーブルがあればできたりします。
ルータは事前に設定など手間がかかりますが、電気かんなは簡単に削り始めることができます。
ただ、その分経験がないと思ったように仕上がりません。
幅を削る
野地板は幅も厚みも一定ではありません。
そのまま貼ると微妙に嵌まりません。
あと0.5㎜とか0.3㎜削りたい、そんなときは電気かんななら簡単に削れます。
もちろん、板を立てかけて、クランプで留めておく必要があります。
慣れてくれば、10㎜幅を削りたい場合、2.5㎜を4回繰り返して幅を狭くすることもできます。
しゃくり
これは板同士の接合のための相じゃくりはもちろんできます。
それ以外に、例えば、既設の化粧板の上に新たに板を張る際、段差などがあって、そのままではすき間ができてしまう場合があります。
そんな場合、相しゃくりで1㎜だけとか、2㎜だけとか段差をつけて削ることですき間なく貼ることができます。
電気かんなの難しいところ
電動工具で一番難しいのではないでしょうか?
電動かんなは刃の幅が82㎜の物が手頃な価格なので主流と思われます。
この幅より小さい木材であればまだなんとかなります。
ところが、これよりも幅のある木材の場合難しくなります。
よくある例
これは120㎜の野地板ですが、2回に分けて削るため筋ができました。
これは電気かんなの刃の幅より小さければ筋はでないけど、大きければ筋はでます。
何十本も削って筋を目立たなくさせることもできるようになりますが、反っていたりすると駄目です。
素直に刃の幅の大きな電気かんなで削りましょう。
最後は気を抜くと凹みます。
開始と終了では力を掛ける位置が異なります。
それを怠るとこの様な凹みとなります。
これは初心者の頃は誰でも経験します。
慣れてくると出なくなります。
あと、材の途中で電気かんなの電源を切るとき、最初の頃は凹や凸ができます。
何十本も削っていく内に体得できますが、やはり0.3㎜の深さだと凸は回避できますが、0.5㎜以上だと凸は目立ちます。
筋を出さないようにするために初めの頃は斜めにかけていました。
出口で削れていました。
もう斜めにかけません。
筋消すのが大変でした。
電動かんなの進め方が早いと波打ちます。
これは何十本も削れば身体が覚えます。
この後を消すのは大変です。
何度も削らないといけません。
作業を最初は床の上でしていました。
けど、生産性が悪い、精度が悪い。
行き着いたのは945㎜の作業台
作業台の構造用合板はクランプで固定しています。
構造用合板12㎜1枚は10㎏越えで3枚も載っていると30㎏超えていますが、更に固定のため木材は作業台の上でクランプで留めています。
150㎜クランプ3個で3カ所を固定し、削りながら取り外しと取り付けを繰り返します。
今では更に馬の高さを上げた作業台を使っています。
これは作業台の高さは978㎜あります。
この位ないと電気かんなの作業は長時間のため、背骨が痛いです。
削る量ですが
最初は0.5㎜で荒削りし、次は0.3㎜で仕上、木の湾曲で削れてないところなどを何度も0.3㎜で仕上て、時には0.3㎜、0.5㎜、0.7㎜、0.9㎜、1.1㎜、1.3㎜、1.5㎜と0.2㎜ずつ深くして削れてないところを削ったりしました。
荒削りは一度で、仕上げは何度もかけていました。
これで綺麗な木目が浮かび上がりました。
檜は杉と違い赤身は少ないです。
でも削れば赤身がでてきます。
最終的に仕上は荒削りの二分の一の早さで進むようにしました。
2mの120㎜幅木材を荒削りと仕上を幅61㎜ずつして、木表側のみの加工で修正までいれると30分を要しています。
これらは削る木材が少ないと技術を習得できません。
電気かんなの刃より幅が小さい材なら20本も削れば、綺麗に削れるようになります。
ところが、電気かんなの刃より幅が大きい材なら100本近く削ってやっと綺麗な材になってきたという感じです。
少なくとも600回以上削っています。
素直な材なら20分程度で仕上がります。
癖の強い材なら1時間近く削る事になります。
縦に筋が入っていますが、左側が5㎜荒削り1回のみ、右側は荒削りのあと3㎜の削りを何度かしたものです。
板によって荒削りだけで綺麗に削れている物もありますが、大概は残っています。
それは木が湾曲している、場所により厚みが違う、場所により幅が違うなど野地板はそもそも屋根の下地材なので、それを化粧材にするには並大抵の事では綺麗になりません。
自動かんな、手押しかんなを持っている人が野地板を化粧板に変える事ができるでしょう。
電気かんなでは1時間近く削っても綺麗にならないこともあります。
同じ板ですが3カ所もこのような状態です。
修正箇所が多いと疲れます。
右側が修正が終わった状態。
左側が荒削りのみです。
電気かんなで必ず揃えておきたい物
ガイド
それはガイドです。
ハイコーキ P20SF
ハイコーキ FP20ST
カタログには相じゃくり作業用にガイドと書いてあります。
でも、幅の広い木材を削る時こそ、ガイドを利用します。
幅が狭くてもガイドがあると真っ直ぐに削れます。
ないと曲がってきます。
何故なら木の繊維は真っ直ぐではないからです。
電気かんなにガイドを取り付けている状態
これがガイドです。
距離の測り方
板の端からの距離を測る際、電気かんなのこの部分から測ってはいけません。
なぜなら、刃はここまで出ているからです。
この部分から測るとずれが少ないです。
電気かんなを裏返して、刃の端から61㎜でガイドを固定。
使っていると62㎜とかにずれていきます。
この設定は左から右に削る場合のやり方です。
これで削ってみて逆目なら反対側からガイドを挿して、右から左に削ります。
ちなみに先端から刃まで11㎝の距離があります。
なので集塵アダプタを通過させるまで削れていません。
最初の頃はガイド付けずに作業していましたが、曲がるし筋も何本もできて・・・
ガイド使うようになって筋も目立たなくなってきました。
しかし、ガイドの精度はいまいちです。
丸鋸のガイドと較べると頼りないです。
けどあるとないとでは直線の精度が異なります。
使わないときはノブ(切り込み調整用)を0に合わせる。
一日の作業が終わったらノブは0に合わせておきましょう。
なぜならいつ何時かんなが動いてかんな刃が痛むかも知れないからです。
ノブを調整して動くのはフロントベースです。
ローラー(かんな胴)は動きません。
ノブを2.5㎜に合わせるとフロントベースがわずかこれだけ動きます。
0.5㎜ではフロントベースが傾いているのは肉眼ではわかりません。
ノブを0に合わせるとフロントベースの傾きはありません。
そのためかんな刃が毀れる事を防げます。
集塵機
集塵機は必須です。
とにかくおがこが半端なくでます。
スライド丸鋸で数十本切断したとき1ヶ月くらいで満杯になりますが、電気かんなで数十本削ると1週間で満杯になります。
もし、集塵機なしで電気かんなを使うと部屋の中に粉が舞うし、床は大量の大鋸屑で埋まるのを覚悟しないといけません。
集塵機付けていても、微粉は舞っています。
もし、集塵機をつけているのに、電気かんなからおがこが出てくるようなら次のいずれかです。
電気かんなが出すおがこは、木目が細かいため、着火剤として利用したり、木材の死に節などで穴が空いているところを埋めるのにパテに混ぜて使うのに便利です。
集塵アダプタ
集塵機と電気かんなを接続するには、集塵アダプタが必要です。
機種によってはダストアダプタが必要になります。
電気かんなの集塵アダプタとダストアダプタについてはこちら→ハイコーキ集塵機とハイコーキ電動工具との接続アダプタについて
耳栓
電気かんなはうるさいです。
どれくらいうるさいかというと
これは電気かんなの電気を入れた状態。
これが檜野地板120㎜を0.5㎜削っている時の状態
その差は11.9dBです。
これが大した事ないと思ってはいけません。
音の圧力としてはPaを単位に使います。
これだと、もっとも小さい音と最も大きい音は10万倍の開きがあります。
これをそのまま表すと訳がわからないため、dBという対数で表しています。
なので11.9dBですが、音のエネルギーとしては10倍強くなっています。
3M イヤーマフ
109dBAは聴覚に異常を来す音圧なのです。
この騒音を何時間も聞いていると音が聞こえずらくなります。
耳の中が痛いです。
85dB以上の音圧に長年さらされていると、有毛細胞がダメージを受けて騒音性難聴になるレベルです。
そこで耳栓をしましょう。
就寝用の耳栓でもかまいません。
少しは静かになります。
耳栓は耳の穴深くまで入れないと効果が薄いです。
耳栓は正しく入れないと効果が薄いので、イヤーマフを付けることです。
耳を覆うように装着すれば、電気かんなの音はしますが耳の痛みがなくなります。
これをしてわかったのは、インパクトドライバでネジを揉んでいる音もスライド丸のこで切断している音もうるさいこと。
ただ、稼働時間が短いからそんなに苦痛にならない。
電気かんなは稼働時間が長いため、苦痛になります。
イヤーマフをすることで、苦痛にならない音量まで静かになります。
イヤーマフ
3M イヤーマフ
H10Aは2017年カタログに掲載、X5Aも掲載
3M イヤーマフ
H10A
長時間爆音に晒されるのであればイヤーマフなどを装着して85dB以下になるようにしないと騒音性難聴になりかねません。
装着すると、ピッタリです。
痛くはありません。
しっかりと密着されています。
騒音対策
電気かんなで木材を削ると100dBを超える騒音をまき散らします。
電気かんなの刃(かんな刃)はローラー(かんな胴)に2枚ついています。
ハイコーキのP20SFの場合、17000rpmで回っています。
つまり、1秒間に283回ローラーが回り、1秒間に566回も刃が木材を叩いています。
結果、あのような爆音がします。
昔は、スパイラル状のローラーに刃もスパイラル状の静音電気かんながあったようです。
現在市販されている電気かんなは構造的に爆音がするので、近所にも爆音が響きます。
野中の一軒家なら爆音でも問題ないでしょうが、近隣があるなら対策も必要です。
建設関係の人は朝の8時頃から作業をされます。
が、朝の8時から爆音撒き散らかされたら大迷惑です。
DIYする人は朝の10時とか11時から作業を開始し、終了も17時とか18時ならまだ許容範囲では?
そして、作業する場所は全てを閉め切り、窓には構造用合板など置いて音を上に逃がすとかなどの対策は必要でしょう。
本職は防音幕とか使いますが、DIYはあるもので対策しましょう。
すべての窓に構造用合板を立てかけるだけでもずいぶんと違いますよ。
防振手袋
サンダより振動が少ないとは言え何時間も電気かんなで削っていると、手への振動が気になります。
同様にインパクトドライバも何時間もネジを揉んでると手への振動が気になります。
手が痺れます。
手が疲れます。
ただの手袋と違い、握った際の違和感はあります。
けどサンダをかけたり、電気かんなをかける時はこの違和感が振動軽減になります。
こんな風に全体にスポンジがついています。
スコヤ
かんな刃とガイドの距離を測りガイドの位置を決めるのに使用します。
スコヤ内側にメモリがついているので直角にして台からの距離も測れます。
この方法でないと正確にガイドの位置決めができません。
電気かんなを買うなら
これは作業時間で考えるといいでしょう。
数本程度ならDIYモデルで十分でしょう。
ハイコーキ FP20ST
リフォームなどで数十本単位で削り毎日何時間も削り続けるならプロ用モデルがいいでしょう。
定格30分でも力率75%なので、無理が利くので大量の加工ができます。
ハイコーキ P20SF
DIYだからといって安い電動工具を買うのでなく、精度、安全を求めてプロ用を買えばいいのでは
丸鋸、スライド丸鋸はプロ用をお勧めします。
ドリルドライバ、インパクトドライバはDIY用でも十分でしょう。
120㎜の野地板を買ってきて自分で加工する人には
120㎜の電気かんなを購入するのが一番効率がいいです。
120㎜かんなのP35は2010年発売と古いんですけど。。。
けど、82㎜でも2回に分けて削る事はできますが縦筋が入るので、それがでないように加工するのに何十枚の木材を削って身体に覚えさせないと一発で綺麗にするのは難しいです。
木材は木表側に反りますし、縦にも横にも反りますし、死に節に刃が当たると、死んだ木が吹っ飛びますし、逆目に削るとささくれますし・・・沢山の木材を削って経験してみないと上達できません。
その点、丸鋸はプロ用を購入してガイドを使えば、高精度に切断できるので、安全に十分配慮すれば、電気かんなに較べて簡単かもしれません。
プロ用のキックバック軽減機能はDIYする人にこそ必要な装備です。
最近の電動工具はAC機を焼き直してコードレス化しているだけ
大昔から進歩していません。
120㎜の電気かんなに集塵アダプタつけられるように設計してください。
本職以外にDIYでも120㎜は普通に使いますから。
DIYモデルにこそ安全装置を付けて下さい。
頻繁に木工作業しないのであれば、ホームセンターでモルダ加工(表面を平滑にすること)やプレーナ加工された木材を購入するのが一番楽です。
一番無理なのは経験ないのにかんなで削ることです。
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